肥料のお話Ⅱ

一昨年、大野村(現洋野町)で伺ったお話です。

●高さ80cm程度のゲスタガ(※タガが外れるの「箍」で押さえた容器のことです)に、水でゆるめたボッタを入れ、2人で担いで稗畑へ運ぶ。これをフリオケ(桶)に小分けにし、ボッタフリといって土に撒いていく。ボッタは稗の場合には種と混ぜ合わせて撒くが、イモと大根の場合は上にかけた。
…ボッタとは文脈からお分かりのように「人糞」のことです。自然環境の厳しい県北部の主食として欠くことのできなかった「稗(ヒエ)」。このヒエの栽培の歴史の中で培われた方法~粒の細かいヒエを効率良く均等に播く方法が「ボッタフリ(ボッタ播き)」だったのです。
 女性も従事していたといいますが、高さ80cmの容器に入った人糞の重さはいかほどだったのか…。頭が下がります。
 また、これとは別に男性のみが屋外に設置したタメツボ(壺)に尿を集め、肥料にしたとのこと。タメツボは穴を掘った地面に埋め、その周りを板で囲い、屋根を付けておいた…つまりはトイレットです。
 古き時代の農業雑誌などを手にすると、便器の穴が二手に分かれたものなどが「画期的な発明」と銘打って紹介されていたりしますが、一口に「下肥」といっても実際には栽培食物により色々と用途・調合が分かれていて奥が深い。

 場所は変わって東京の都市近郊地域では、都市部で大量に回収される人糞を運ぶ「糞船(クソブネ)」なる船が江戸川を近年(といっても戦争前後のお話)まで繁く往来していたとのこと。
 江戸川といえば花火、花火といえばキレイ…岩手に生まれ岩手に住む私にはその程度の認識しかありませんが…。かつては要所に船着場があって、糞船が着くとリヤカーでブツを土手に引き上げ、各自2斗(30kg)の下肥が入るタゴ(蓋付の木製容器)2つに取り分けて天秤竿にぶら下げて田んぼ近くの溜め小屋まで運んだといいます。
 総重量60kg。この搬入仕事は女性が従事することもあったといい、「すごい重労働」と驚くと、「だってやらなきゃならなかったんだからしかたない」と笑いながらの回答。
 ・・・果たして自分がその立場にあったら・・・根性がないので確実に夜逃げしていることでしょう。

 ちなみに、華の東京。あちらの下肥は回収する場所や家により値段の高低があったとかなかったとか…。
 いわゆる「遊び」の空間から回収されたブツは良いモンを食べているから商品のクオリティーが高いとか、糖尿病を患っておられる方がいる家庭の商品は船で搬送する途中で発酵が進み蓋を弾き飛ばす勢いで発泡、周囲に散乱しエライ目にあった…などという江戸の粋(?)な小話を耳にしたことがあります。真偽のほどはわかりませんが、結論。

 下肥ってスゴイ。

by.まめぶ

# by torira | 2007-07-05 00:30 | 昔のくらし | Comments(0)

花巻の宵宮

藤木大明神の宵宮の光景が新聞に掲載されておりましたように、今年も花巻市内各所において宵宮の賑わう季節を迎えました。

今回は昨年度の7月14日の花巻市内の様子をお知らせ。7月14日といえば八坂神社、一般にはお天王さんの名前で親しまれるお社の宵宮が行われます。

市内を通り抜けていると、ここにもお社があったのかぁというめぐり合わせがたびたび。
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↑こんな感じに高らかと幟(のぼり)があがっています。そして、鳥居をくぐると老若男女を問わず地元の方々が最寄り、和気あいあいと夏の訪れを楽しんでおられます。

もちろん、お社に参拝しご挨拶を済ませれば、あとは余所者という垣根もなく温かく迎えてくださいます。

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↑こちらは花巻の中心地に鎮座する八坂神社の様子。普段は見過ごしてしまうような小さいお社ではありますが、宵宮の日は煌々と明かりが灯り、絶え間なく地元の方々が参拝に訪れていました。

by.まめぶ

# by torira | 2007-07-04 06:30 | 年中行事 | Comments(0)

白石神楽と八犬伝

 盛岡市上米内に白石神楽という神楽がありました。メンバーの多くが戦死したため、昭和20年代以降は舞われなくなってしまいましたが、庭元さん宅に残されている翁面の裏面には「上総國 神尾山 薬師 里見安房守 奉納翁面 出目元休写」と彫られています。意味はよくわかりませんが、そう書いてるというのは本当です。冊子「とりら」創刊号に写真が載ってますのでごらんください(宣伝かよ)。

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 出目元休はさておき、里見安房守といえば八犬伝だよな。というわけで、「南総里見八犬伝」を読んでます。分厚い本で全13巻だし古文だし、やめようかなあとも思ったんですけどね。それでも、ちょっと読んでみたら思いのほか荒唐無稽で挿絵もへんちくりんで、とりあえず読み進めてます。まあ読本ですから。
 「芸能とくらし」に関係なさそうですが、「庚申待ち」とか「牛の角突き」とか、案外それっぽいネタもあり。ただ、「神尾山 薬師」が出てくるかなあと期待しつつも、さっぱり出てきません。まあ読本ですから。

 by げんぞう

# by torira | 2007-07-03 23:43 | 資料紹介 | Comments(0)

肥やし。

 冊子「とりら」創刊号に盛岡市上米内の「白石神楽」のことを掲載したので、冊子の完成品を神楽のニワモトさんの家に持っていきました。
 あらかた神楽のお話は取材しつくしたし、昔のくらしぶりのことも聞いたつもりでいました。が、農耕関連のことをきいてみたら、けっこう新たな話題が出てくる・・・。
特に、ジキマキ(肥やしと種子をまぜて蒔くやり方)についてきいたところ、白石でやっていた話に加えてこんな話も出てきました。

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(お話をきかせてくれたニワモトさんちの 中坪シロさん)


 外山とか藪川のほうさ行っておどろいたんだども、あっちでは女の人もやるんだなっす。若いオナゴがカスリを着て、立派な身なりをして、その人たちが振って(ジキマキをして)歩くのす。男たちはそこさ土よせてくって・・・。
 白石ではオナゴはやらなかったなっす。今だばゴム手袋だなんだっていうところだども、素手でやるもんだから、5日や10日は臭くてなっす。コビルだったって、臭くて。
 とにかく肥料はなくて、田んぼも馬の堆肥でした。ジャガイモ肥料がないから小さいのしかできなかったんだなっす。馬のコヤシも、エサで効き具合が違うんでやんすよ。コヌカだの豆煮たのだの喰わしてればそのコヤシは大した効くものだどもなっす、刈草ばり喰わしてれば効かねし。おらほでも種馬さはそうしたいいエサをかしてたもんだから、そういうコヤシはサイモノって、野菜にかけてやんした。

 by げんぞう

# by torira | 2007-07-02 19:48 | 昔のくらし | Comments(0)

茅を抜くと・・・

引き続き「茅の輪」の話題。
紫波町の志和稲荷神社の茅の輪は、五月のお祭りのときにはもうすでに鳥居にすえつけられています。
上半期の厄落としということで、早々と出しているのでしょう。
で、まめぶ さんから紹介いただいたように夏越大祓式そのものは6月30日15時から行われたようですが、「その後は茅の輪はどうなるのか?」と思い、出かけてみました。
7月1日14時半現在です。
 ↓
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茅の輪くぐりの後、参拝者がお守りとして茅を抜いて持ち帰るという風習があるためか、骨組みだけとなっておりました。
それだけに、藤ヅルでつくった構造はよくわかります。

by げんぞう

# by torira | 2007-07-01 20:49 | 年中行事 | Comments(0)

本日午後3時です。

 6月晦日の本日、盛岡の最寄りでは志和稲荷神社で午後3時より夏越大祓式が予定されております。ほかにも、大迫の田中神社も6月30日であったような。

 ついでに、県立博物館で紹介している携帯サイズの茅の輪のお守りをはじめとする、蘇民将来と牛頭天王さんとのおはなしに由来した全国の蘇民将来護符の展示は明日までとなっています。

 紫波は遠いなぁという盛岡北部のみなさま、博物館で何となく茅の輪をくぐった気分を想定して半年の災厄を祓ってみるのはいかがでしょうか。
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 ↑は花巻の幸田神楽さんの天王舞。とてもおもしろいです。そういえば、今年の6月14日はいつでしょう???
 
 話が逸れましたが、お守りのコーナーには岩手でおなじみの蘇民祭や和賀大乗神楽さんの「天王」の写真も紹介されています。
 大乗神楽さんの場合は、途中から中国の説話「淮南子」の太陽説話のモチーフがくっついていたりと、早池峰系と違うストーリーが展開されます。
 明日7月1日に花巻で実修される「大乗神楽の里に神遊ぶ」では、「天王」の予定はないようですが、いつかお目にかかれる日を(拝見したことがないのです) 心待ちに・・・。

 ちなみに、“牛玉宝印”札に目のない私。田んぼの畔などに棒が刺してあると近寄って確かめずにはいられない習性が身につき、気がつけば早や10年余。いまだに証明書以外に出会ったことがありません。

by.まめぶ

# by torira | 2007-06-30 09:10 | 年中行事 | Comments(0)

夏越の祓

明日は6月30日。夏越の祓(なごしのはらえ)ですね。
神楽の人気演目「天王舞」は、一夜の宿を請うたのに邪険にあつかった巨旦将来に復讐する牛頭天王=スサノオの舞ですが、良いヤツ=蘇民将来の娘は「茅の輪パスをつけていればオッケー」と安全を約束されます。
ということは、この茅の輪はけーたいサイズだと思うのですが、神社で行われる茅の輪くぐりのその輪はとうてい持ち歩ける大きさではありません。
茅の輪はいつ大きくなったのでしょう?

・・とりあえず盛岡八幡宮の茅の輪を撮りに行こうと思い、チェックしてみたら、6月30日ではなく6月の最後の日曜に変わっていました。
そんなんでいいのか?

事務局MA

# by torira | 2007-06-29 21:54 | 年中行事 | Comments(0)

虫札

刈り入れを控えた麦畑に「虫札」発見。

「虫札」は虫除けの呪文等々を書いた札で、田畑に立てられるものです。
中身も色々、書く人や配るタイミングや挿す場所も色々。
・・・というわけで現物を見てみたいなあと思ってました。

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この写真は、盛岡市下太田の麦畑のものです。
中央の棒の先についているのがお目当てのモノ。
・・・と思いきや、近づいて見ると、麦の共済関係の証明書でした。

ちかごろは、「減農薬栽培」「転作作物」「共済対象」などなどを証明するモノがこんな感じで田畑に立っていることがあります。
まぎらわしい・・・。

こういう勘違いシリーズは山ほどありまして、そのつどお伝えしていこうと思います。

by げんぞう

# by torira | 2007-06-28 20:42 | 年中行事 | Comments(1)

とりら創刊号

とりら創刊号(2007年6月10日発行) ぜひご覧ください!

【目次】
 ◇いわて芸能ごよみ
 ◇神楽巡行体験記「鵜鳥神楽巡行日記」 村上千晶
 ◇とりらインタビュー 「中野七頭舞保存会顧問・山本恒喜さんに聞く」 聞き手 飯坂真紀
 ◇右と左の序列考 「足袋、袴、どっちの足から履くの?」 吉田隆一
 ◇盛岡の神楽 その1 「白石神楽」 岡田現三
 ◇「森口多里がいた」 -岩手を歩いた昭和の巨人 川向富貴子
 ◇とりらの図書室(書誌紹介)
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     ~表紙写真~


【価格】
 税込 500円

お求めは・・・  
「とりら」は書店等で販売しますが、ご希望の方は直接お送りします。(本体500円+送料80円)
  ・ご住所(+郵便番号)
  ・お名前
  ・お電話番号
  ・希望部数
を下記事務局あてにお知らせください。
折り返し、クロネコメール便で会誌をお送りします。
同封の郵便振替用紙にてお近くの郵便局でお振込みください。

「ふるさと岩手の芸能とくらし研究会」事務局
toriratorira@yahoo.co.jp

# by torira | 2007-06-27 18:27 | 冊子「とりら」 | Comments(2)

冊子「とりら」発刊のことば

 岩手県は「民俗芸能の宝庫」と言われ、今も多くの芸能が、岩手のくらしを大切にする人々によって各地域で息づいています。
 今回、民俗芸能になんらかの関わりを持つ数人が出会いました。
 「自分たちの芸能の歴史と現在を知りたい。その背景となる生活文化についても調べたい。お互いの思考や情報を交換し積み重ねていこう」。
 こんな発想から職域を越えたつながりが生まれ、今回「とりら」と名付けた小冊子を作ることになりました。
 ふるさとで自分たちの宝を大切にしている人達が主人公になるように。「昔」を明らかにすることで「今」がいっそう輝くように。そんな視線で編んで行きたいと思います。

 ちなみに「とりら」とは、岩手の(岩手だけではありませんが)神楽に出てくる言葉で、「トリラ トリラ」と歌いながら舞う演目もあれば、「とりら舞」を持つ団体もあります。しかし、はっきりした定義は今のところありません。
 このナゾな「とりら」の世界を一緒に追求してみませんか?

 発行者「ふるさと岩手の芸能とくらし研究会」は、営利を目的としない任意の市民団体です。研究誌「とりら」の発行(年2回をめざす)をメインに、不定期の公開講座なども企画していく予定です。
 基本的に経費は執筆者共同で負担することとし、県内外数カ所の施設・書店などで販売、会の維持・運営にあてます。
 皆さまのご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

    ~ふるさと岩手の芸能とくらし研究会

# by torira | 2007-06-27 18:19 | 冊子「とりら」 | Comments(0)