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奈奈子祭を考える

奈奈子祭について私なりにとらえ直しておこうと思います。今日は文字が多くなりますがどうぞお付き合い下さい。

奈奈子祭の凄いところは、おばあちゃんにひ孫の舞を見せたいという個人的な気持ちを発展させて、個人宅で芸能祭をやってしまおうという仰天!の発想です。
笹山さんご夫妻は、これまで奈奈子さんのご実家で神楽宿をやってきた経験から、神楽に加えて虎舞と鹿子踊りと太鼓が来てもなんとかやれるんじゃない?とお考えだったようです。
この超楽天的な感覚がいいですね!
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 (神棚のおかざり=右・アワビ採り)

ご夫妻はもっか仮設暮らしですが、これまで奈奈子さんは仮設の方たちだけでなくその周辺のおうちの方も誘って「松茸ご飯を作って食べる会」等の小さなイベントを重ねて来ました。(松茸は笹山御主人が採ってきたもの。ohゴージャス!)
誘い合って松茸ご飯を作って皆で一緒に食べる。自前ではできない部分だけ、支援団体に協力をお願いする。そういうやり方です。
支援団体からは「仮設の人から自発的に『こういうことしたいから来て』と言われたの、初めて」と驚かれたそうです。
このやり方、いいのではないでしょうか。

今回の奈奈子祭も、自分たちで企画を立て、自分たちで出来ることに他からの応援を組み合わせる、というイベントです。
人に動かされるのではなく、自らがイニシアチブを取って行動していこうという意識は、これからの新しい地域作りを考える上でとても大切な点ではないでしょうか。
橋本裕之さんが全面的に協力なさったのもそんな心意気に深く共感されたからだと思います。
早池峰岳神楽の大熱演もきっと同じだと感じました。(もちろん箱崎には初めていらした岳神楽です)

イベント全体を振り返れば、少し心配していた駐車場のサポートはばっちりでした。
台所の女性たちは大忙しでしたが楽しそうでもありました。
会場内のケアについてはもう少しスタッフがいた方が良かったかもしれません。人を頼らないことと人に頼ることのバランスが大切な気がします。

地元の方たちに芸能を見て貰って元気をあげたい、というのが企画意図の大きな柱だったと受け止めていますが、普段あまり顔を見せない方も含め近所のおばあちゃん達がたくさん集まってくれた事を奈奈子さんは喜んでいらっしゃいました。

来ていたよそ者は、私のような芸能好きの人間、報道関係者、研究者に加え、旅行会社による復興支援ツアーの一環でいらした他県の方たちが十数人、皆さん熱心に鑑賞していました。その方たちもお花を上げて下さったので、終わり頃にはお名前を張り出す梁が足りなくなるほどでした。
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 (昼食風景)

どうやら今インドにいるらしい知人から、奈奈子祭に行きたかった!知らなくて悔しい!というメールが来ております。知ってたってインドから釜石は遠いよ。それによそ者はあれ以上いらない。
むしろもう少し地元の若い世代が来てくれればこれからにつながるのでは、というのが私の勝手な気持ちでした。
メールには「プライベートとパブリックぎりぎり境界線上の希有な芸能祭りだったんではないのかと、」と書かれていて、的確なとらえ方だと思います。立派なハコでやることだけが「晴れ舞台」ではないというセンスを持ちたい。皆さんにも応援して良かったと思って頂ければ幸です。

 by.事務局MA
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 箱崎はまだ船が少ない。地盤沈下が目立つ。

# by torira | 2013-03-02 23:15 | 東日本大震災 | Comments(2)

奈奈子祭・その2

奈奈子祭のトリは、普代村からいらした鵜鳥神楽です。
震災前からこちらでは神楽宿(この場合、巡行のパトロンという意味になります)を勤めていらっしゃいました。

鵜鳥神楽の「山の神」。
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今日の神楽幕には普代の定置網の名前がずらずらと染め抜かれています。

笹山家では、息子さんがこの度鵜鳥神楽に加入したこともあり、おばあちゃんに孫の晴れ姿を見せてあげたいという奈奈子さんの強い希望がありました。
そのヒデ君と、最近神楽にもどってきた山本さんとが組んだ「綾遊び」。
若い二人がはつらつと舞う小気味の良い踊りでした。
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その後には、神楽衆となった決意表明を発表。
地元のおばあちゃんたちは自分の孫の活躍を見るように大喜び。とても良かった。

鵜鳥神楽をもって奈奈子祭はお開きとなり、ごちそうが並べられると御祝い合戦です。
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岳神楽による御祝い。
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鵜鳥神楽による御祝い。違うものだなーとわかる貴重な機会でした。

台所を受け持つ皆さんの大奮戦により、お昼には炊き込みご飯のおにぎりと地元ワカメの酢の物、「細々(こまごま)汁」という具だくさんの汁がふるまわれました。

そして直会にはお刺身の大盛り+大きなあんこ餅がならび、ホタテの貝柱で仕立てたおすましが付きました。
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鴨居にずらっと張り出されたたくさんのお花のうちには「白浜養殖組合様」からのホタテも。おすましのホタテは、ここ白浜育ちです。
まだ大きくはありませんが、震災後に再び養殖に取り組んでこのサイズまで育ったのだ、という復興を表すホタテなのです。
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奈奈子祭のおうちからすぐの白浜漁港です。
木の枝にからまっているオレンジ色の浮きは震災の遺産。ガレキも見えます。
でも浜には仮設テント(とれたものの借り置き場?)が並び、何人かが立ち働いていました。

来年はホタテももっと大きくなってくれるでしょう。
「いったん離れた人たちに帰ってきてほしい。ここの良さを改めて感じてほしい」。それが奈奈子さんたちの願いです。

とりらが呼びかけた「奈奈子祭応援募金」は総額なんと105,000円になりました!びっくり〜。
皆様、たくさんの応援ありがとうございました!
募金にご協力くださった方々は以下のようになります。

中村光江様、那須川真由美様、小菅恵子(まつもと けいこ)様、田中 則和様斉藤聖英様、橋本和幸様、鈴木雄二様、工藤祐子様、岡田現三様、田村晴樹様、飯坂真紀様、見市建様、松前もゆる様、藤原成則様、高橋美香様(順不同)

笹山さんにかわって御礼申し上げます。
一部は笹山さんに手渡しし、残りは振り込みました。

気持ちの上で応援して下さった方もたくさんいらっしゃると思います。
今後も白浜の行方を見守りつつ、出来ればおりを見て足をお運び下さい。
 
 by.事務局MA

# by torira | 2013-02-27 23:28 | 催しもの | Comments(0)

奈奈子祭・その1

2月24日に行われた「奈奈子祭」は大盛況のうちに終わりました。
芸能以外の場面も混ぜてその場の雰囲気をお伝えします。
奈奈子祭については「祭のおっかけ」さんが動画入りでまとめて下さっていますので、こちらもご覧ください。
ここに至る経緯は、勝手ながらこちらのブログを参考にしていただければ。

釜石は雪が積もる朝でした。
少し遅れて白浜に着くと、関西弁のボランティアの方が駐車場整理をしてくださっていました。寒い朝に、ありがとうございます。
奈奈子祭会場となる佐々木家には、高々と立てた青竹にひるがえるフライ旗と日章旗。
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すでに釜石市唐丹の桜舞太鼓が、きりっとした太鼓を響かせていました。創作太鼓で締太鼓を片面打ちするスタイルは新鮮です。

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鵜住居虎舞を出迎える本日の主人公、奈奈子さん。チビ虎がめんこい。
虎舞が踊り出すかたわらで、ご近所のばあちゃんが、「頼むね、これは神楽さんサ上げる分。コメは後から持ってくっから」とスタッフのおばちゃんにお花を託していました。
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鵜住居虎舞の手踊りはメニューが多く、この日は「うれしき舞」という囃子舞を初めて見ました。子宝がさずかる舞?
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花巻市大迫町から、早池峰岳神楽が来て下さっていました。この日はすごい気合いが入っていたなあ。
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画像は餅を撒く山の神です。前の日は奈奈子さんとご家族と某先生とが餅作りに追われたとか。
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奈奈子さんのご家族が身固めを受けたあと、権現様は台所へ。
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火防せの呪法をしています。普通の家じゃないとなかなか見られない場面。

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「なんだか楽しそうだなあ」と家をのぞき込む鹿。じゃなく、鵜住居の田郷鹿子踊りによる「綱がかり」という演目です。
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鵜住居町のシシ踊りや唐丹の太鼓が箱崎白浜に来ることなんて前代未聞のことでしょう。
注・田郷鹿子踊りは数年に一度、白浜のお祭りに呼ばれていらしていたそうです。

早池峰神楽が来るのはもちろん初めてです。
あれこれを考えるとぐっと来ちゃいます。奈奈子祭、やっぱりすごい‥。

 この続きはまた明日。

 by.事務局MA

# by torira | 2013-02-26 23:55 | 催しもの | Comments(3)

バス停から徒歩5分以内

「民俗芸能の宝庫、岩手」とよく言われるけど、「宝庫」ってなんだろう?

最近思うのは、バス停から徒歩5分以内に1つくらいは何かしら芸能があるよなぁ ってことです。

アレンジされた統一さんさ踊りといえども自前の笛太鼓で踊る芸能が各町内にある盛岡市。
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県北ナニャドヤラのエリアでは「一家に一台、マイ太鼓」とも聞いています。

あつっい夏がまたやってくる‥んだろうかー。
今夜はこの冬一番の寒気団がいらしてるそうです。寒いっ。

 by.事務局MA

# by torira | 2013-02-24 22:05 | お役立ち情報 | Comments(0)

大槌町の花輪田神楽

2月11日の大槌町郷土芸能祭では、花輪田神楽を初めて拝見しました。
二見ヶ浦の日の出に鯛が踊る絵柄の神楽幕から、山の神が登場です。
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非常に熱い舞手のオーラに圧倒されっぱなしでした。

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お囃子は各世代が揃っていて、太鼓がお二人いらしたのが目に付きました。
あとでお話を伺ったところ、こちらの神楽は、おじいちゃん、お父さん、息子さんたちとお嫁さんにお孫さんと家族で構成されていて、練習もご自分の家で行うそうです。太鼓が2つだったのは練習を兼ねて、でもあるとか。音が揃っていて小気味よかったです。

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芸能祭の会場へ行く途中にある石材屋さんが花輪田神楽のおうちです。
テレビCMでこちらの神楽をご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか。
でも、「震災以降、CMは自粛していまして」との事。

震災の時は二階まで水に浸かりましたが、二階に保管していた神楽の道具はなんとか無事でした。
「神楽の面はぷかぷか流れていったのを拾い集めて、壊れた道具とともに修理に出しています」とお父さんがおっしゃっていました。

花輪田神楽は元・修験の家の三浦家でずっと継承されてきて、おじいちゃんは昔は神楽集団の一員として上閉伊・下閉伊をずっと巡行して歩いた経験をお持ちだそうです。
山の神を熱演された息子さんは陸中弁天虎舞のメンバーでもあり、お嫁さんは金澤鹿子踊りの一員。他にも七福神のメンバーを兼ねていたりと文字通りの芸能一家でした。
とりらの募金からお見舞いとしてお花を差し上げて来ました。

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画像は震災から2年近く経った小槌神社です。土台だけが残っている光景が今でも広がっています。
今年の3.11を追悼するセレモニーは、ここ大槌町で行われるのだと聞いています。

 by.事務局MA

# by torira | 2013-02-22 22:47 | 東日本大震災 | Comments(0)