奈奈子祭を考える
2013年 03月 02日
奈奈子祭の凄いところは、おばあちゃんにひ孫の舞を見せたいという個人的な気持ちを発展させて、個人宅で芸能祭をやってしまおうという仰天!の発想です。
笹山さんご夫妻は、これまで奈奈子さんのご実家で神楽宿をやってきた経験から、神楽に加えて虎舞と鹿子踊りと太鼓が来てもなんとかやれるんじゃない?とお考えだったようです。
この超楽天的な感覚がいいですね!
ご夫妻はもっか仮設暮らしですが、これまで奈奈子さんは仮設の方たちだけでなくその周辺のおうちの方も誘って「松茸ご飯を作って食べる会」等の小さなイベントを重ねて来ました。(松茸は笹山御主人が採ってきたもの。ohゴージャス!)
誘い合って松茸ご飯を作って皆で一緒に食べる。自前ではできない部分だけ、支援団体に協力をお願いする。そういうやり方です。
支援団体からは「仮設の人から自発的に『こういうことしたいから来て』と言われたの、初めて」と驚かれたそうです。
このやり方、いいのではないでしょうか。
今回の奈奈子祭も、自分たちで企画を立て、自分たちで出来ることに他からの応援を組み合わせる、というイベントです。
人に動かされるのではなく、自らがイニシアチブを取って行動していこうという意識は、これからの新しい地域作りを考える上でとても大切な点ではないでしょうか。
橋本裕之さんが全面的に協力なさったのもそんな心意気に深く共感されたからだと思います。
早池峰岳神楽の大熱演もきっと同じだと感じました。(もちろん箱崎には初めていらした岳神楽です)
イベント全体を振り返れば、少し心配していた駐車場のサポートはばっちりでした。
台所の女性たちは大忙しでしたが楽しそうでもありました。
会場内のケアについてはもう少しスタッフがいた方が良かったかもしれません。人を頼らないことと人に頼ることのバランスが大切な気がします。
地元の方たちに芸能を見て貰って元気をあげたい、というのが企画意図の大きな柱だったと受け止めていますが、普段あまり顔を見せない方も含め近所のおばあちゃん達がたくさん集まってくれた事を奈奈子さんは喜んでいらっしゃいました。
来ていたよそ者は、私のような芸能好きの人間、報道関係者、研究者に加え、旅行会社による復興支援ツアーの一環でいらした他県の方たちが十数人、皆さん熱心に鑑賞していました。その方たちもお花を上げて下さったので、終わり頃にはお名前を張り出す梁が足りなくなるほどでした。
どうやら今インドにいるらしい知人から、奈奈子祭に行きたかった!知らなくて悔しい!というメールが来ております。知ってたってインドから釜石は遠いよ。それによそ者はあれ以上いらない。
むしろもう少し地元の若い世代が来てくれればこれからにつながるのでは、というのが私の勝手な気持ちでした。
メールには「プライベートとパブリックぎりぎり境界線上の希有な芸能祭りだったんではないのかと、」と書かれていて、的確なとらえ方だと思います。立派なハコでやることだけが「晴れ舞台」ではないというセンスを持ちたい。皆さんにも応援して良かったと思って頂ければ幸です。
by.事務局MA
# by torira | 2013-03-02 23:15 | 東日本大震災 | Comments(2)