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桶。

「途中、ハギリ(桶)に水をはって冷やしたキュウリがふるまわれて、それが大した美味かった」
 冊子「とりら」第2号に掲載予定の原稿の一節。大ヶ生山伏神楽の師匠が語る「七夕」行事の想い出です。
 この箇所について、事務局MAさんから「『ハギリ(飯櫃)』としたほうがいいのでは」と指摘をうけました。なるほど。確かに「ハンギリ」でweb検索してみると「=飯櫃」とか「=馬にやる餌を入れる桶」といった説明がいくつか出てきます。でも、なんか「飯櫃」というのは師匠の話の雰囲気とちがうような・・・。

【師匠さんにきく】
 で、改めて師匠さん宅に話を聞きに行きました。絵を描いたり消したりしながら根ほり葉ほりきくと、
「んだ。ハギリってな。このくれえのやつだな」
と、直径3~4尺×高さ1.5尺ぐらいの大きさを示しました。それにご飯も入れてたの?
「だっれ。メシは入れねえの。タマナ洗ったり、そういうのに使うんだな。川があるところだばいいども、おらほは沢水ひいてたのだから、溜めて洗うのだから。洗濯のでねえ。洗濯のタライよりもっと大っきいのだ。だからヒヅ(櫃)でねえでば。ヒヅはデエドコ(台所)さおくの。ハギリはニワ(土間)さ置くのよ」
それじゃあ、馬にエサを喰わす桶とは違うの?
「そいづは別。エサ入れるのはもっと小さいの」

【まめぶさんにきく】
桶。_f0147037_2391321.jpg ウリうんこに詳しいまめぶさんに、参考にスシ桶を持参してきいてみました。
 やはりハンギリは「飯櫃」や「馬の餌入れ」という用途の場合が多いそうですが、水を入れておくものの場合もあるそうです。くりぬきのフネ状の木製容器を指すこともあるとか。一般的な桶を半分に切ったような形状のものがハンギリと呼ばれるとのことでした。

【さて、どうするか】
 いずれにせよ、「ハギリ(桶)」という説明ではあまり意味が通らないし、そもそも自分はよくわかってなかったことを実感させられました。暑いさなかに、とにかくでっかい桶に水はって、そこに大量にキュウリを冷やしているという“御馳走感”・・・。そこを大切にしたい。まあ、「大きいタライ」みたいに書き換えることにしようかなあとは考えてるところですが、これを機会にもうちょっと桶のことも注意してみようと思いました。

 by げんぞう

by torira | 2007-10-23 23:14 | 昔のくらし | Comments(2)

Commented by tomo/はじめまして。 at 2007-10-24 13:15
まさに写真のと同様の「すし桶」を、母(岐阜出身)は「ハンギリ」って言ってました。
盛る方じゃなくて、すし飯を作るのに使う…。
一般的にはやっぱり「すし桶」でしょうか。気になってきました(笑

とりら2号、楽しみにしています♪
Commented by げんぞう at 2007-10-24 23:34
tomoさま いらっしゃいませ。
やや寄り道ではあるのですが、こういうところも“とりら”にとってはちょっと大事なんですね。
しかし、当面する私の課題は、チラシ寿司を喰いたいという一点です。

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