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同じ鳥兜でも

盛岡市桜山神社のお祭りに奉納された石鳩岡神楽(花巻市東和町)を見てきました。
近くで拝見できていいのですが、撮影条件は暗い&動きが速いということでいつもキビしい。

今、岩泉町の中島七つ舞のかぶり物を作っていることもあり、視線は鳥兜に行く。
と。気づいたことがありました。
「鶏舞」では鳥兜(とりかぶと)のしころ(羽という団体もある)がほぼ水平になるようかぶられています。
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しかし、死ぬほどぎっちり締めてるなあ。

「翁」の場合も同様です。上側のしころの裏と下側のしころはともに黒一色であることがわかります。
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ところが、「八幡舞」の場合は、途中で片方をピッと立てるためでしょうか、しころは垂れた状態であることに気づきました。
鶏舞と八幡舞で違う鳥兜を使ってるのではなく、装着の仕方の違いだと思います。
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制作中の中島七つ舞の鳥兜は、二枚のしころがほぼ同じ大きさの早池峰系鳥兜とは違い、上が小さく下が大きい。
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そして表裏両面に色と飾りがあります。

もっかは、重ね貼りした和紙を切り抜き、その重なっている縁がバラけてこないよう、薄い和紙で縁取りしていく作業をしています。曲線が多いのでなかなかきれいに出来ず難しい。
鳥兜も作る石鳩岡神楽の笛方さんに訴えてみましたが、お答えは一言、
「うん、あれは難しいです」のみ。アドバイス、なし。
はあ〜 がんばるしかないか。
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この後は下地塗り、絵付け、ニワトリを作り、金銀紙で日月星を切って貼り、仕上げの塗装をし、鉢巻きを付け、組み立てれば出来上がり。道のりは遠いなあ。

 by.事務局MA

by torira | 2017-05-29 16:41 | 芸能 | Comments(2)

Commented by かわしま at 2017-05-30 01:55
興味深く拝読しました。早池峰系の鳥かぶと、映画「早池峰の賦」を撮った羽田澄子さんが「雅楽の舞人の兜が、東北で異状発達したのだろう」と言ってますが、妖しくて美してスタイリッシュで、大好きです。まったく神楽に限らず、鬼剣舞にしろ鹿踊にしろ、岩手の芸能のコスチュームの洗練っぷりは、ハンパないですね。どこかの版元さんで、岩手芸能のコスチューム図鑑を出さないかなあ、と期待しているのですが、きれいな本ができると思うのですが、無理かしらね。
かぶと作り、がんばってください。
Commented by torira at 2017-05-30 21:45
かわしま様
岩手の芸能の装束を気に入ってくださってありがとうございます。岩手に限らず、民俗芸能の意匠には思いがけないものがありますね。今回指定になった山形のカセ鳥なんか、もう楽しいったら。
問題は、既製の物ではないこれらの装束を作る後継者の育成もまた難しい時代になりつつあるということでしょうか。

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