人気ブログランキング | 話題のタグを見る

やはり海はつながっている その2

昨日の続きです。
さる10月25日、山田八幡宮の絵馬に記された「相模米神」とのつながりを訪ねて神奈川県小田原市の米神八幡神社に行きました。
やはり海はつながっている その2_f0147037_17555870.jpg

そこには森の再生活動を皮切りに森・川・海をつなげる幅広い活動をされている「ブリの森づくりプロジェクト」の方々と、小田原市立図書館の方、そして自治会長さんと地元の方が待っていてくださいました。一通のメールにこんなにたくさんの方が反応してくださるとは、まったく思いがけないことです!
自治会長さんが神社を開けて下さって、念願だった米神のブリ漁を描いた絵馬に会うことが出来ました。
やはり海はつながっている その2_f0147037_17563130.jpg
願い主は「昭和十四年六月 相洋組合 米神鰤網漁場」となっています。
やはり海はつながっている その2_f0147037_17565038.jpg
山田八幡宮の絵馬は「昭和十六年五月」です。

残念ながら昭和10年代に「南部漁夫」が米神に来た話をご存じの方はその場にはいらっしゃいませんでしたが、ブリ森プロジェクトの方から、神奈川県水産技術センター相模湾試験場の石戸谷様のコメントを頂きました。以下のとおりです。
「米神はじめ各漁場の乗子(定置網の従業者の古い呼び方)には、岩手方面の方がいらっしゃいました。ブリ漁の季節に出稼ぎに来られていたと思います。ブリ漁は一大産業だった証しでしょう。」

当日は松本さんの「天ん屋」におじゃまして交流タイム。
皆さんが口々に鰤(ブリ)の定置網のこと、米神の歴史などを熱く語ってくださるのに圧倒されました。
米神の鰤漁は明治期に始まり、昭和30年代まで続きました。11月末から3月4月頃までが漁期だそうです。
米神八幡神社のお祭りはブリ漁が終わった5月15日ですので、5月に奉納された山田の絵馬は漁を終え祭に合わせた奉納だったと考えられます。6月に奉納された米神の絵馬もその時期をみはからって奉納されたのかもしれません。(これは平塚市博物館の方のご教示によります)

お宮にはもう1枚絵馬があるのですが、剥落が激しく、文字はすべて消え絵もほんの一部分しか残っていません。その残った部分。
やはり海はつながっている その2_f0147037_1758125.jpg
こちらはいわゆる絵馬らしいタッチの画風です。良い感じの絵だなぁ。全体が失われたのが惜しい!

そして、この土地にも大きな地震被害の歴史があったのです。
地震・津波というと我が三陸のことしか頭にありませんでしたが、実は1923(大正12)年の関東大震災の震源地は相模湾であり、沿岸地域には大きな津波が来ました。当時の津波の写真もついている記事

米神村(当時)は平地がなく丘陵地帯が直接海に面している地形です。その傾斜地を利用してみかん作りが盛んに行われ、昭和40年代には小田原のみかんとして海外にも輸出するほどでした。
やはり海はつながっている その2_f0147037_17591835.jpg

戸数約100戸の米神は、現在は人口減少にともなう高齢化のため、みかん畑など耕作地の荒廃が進んでいます。でも今も隣組が生きていて顔の見える温かいおつきあいが続いている米神を見直し、大事にしようと「天ん屋」の松本さんはここでデイサービスを始められたそうです。
今回の3.11の直後には石巻や気仙沼の避難所へ支援に来てくださったとうかがいました。そこで彼が見た物は、地域のコミュニティが健在なところは避難所経営もうまく行くという実態でした。

「自分の地元、米神の結びつきの強さを活かして行かなければとますます思いました」と語る松本さんに案内していただき、海を真下に臨むみかん畑で人生初のみかん狩りを体験!
みかんの木を切るといい香りがするのを知りました。ここのみかんは無農薬栽培です。
お取り寄せもできますのでご相談は「天ん屋」までどうぞ。
やはり海はつながっている その2_f0147037_21452414.jpg

これから絵馬のご縁がどうなっていくか、楽しみです。

となりの根府川のお祭りには「鹿島踊り」という郷土芸能が奉納されると伺い、これも「いつか見てみたいぞ」ピピッと来ています。

 by.事務局MA

by torira | 2012-11-02 21:46 | お役立ち情報 | Comments(2)

Commented by ぶり森のらこ at 2012-11-04 23:26
関東大震災の津波の写真、初めて見ました。こちらも元被災地という共通点があったんですね。
東北は民族芸能がとても盛んでうらやましいです。
山田まつり、見に行きたいなぁと思っています。
飯坂さんも鹿島おどり、是非見に来て下さいね!
そうそう、今年は久しぶりにブリが豊漁で、小田原のブリ神輿が復活したんです。
http://www.townnews.co.jp/0607/2012/05/19/144962.html
真鶴では昔、ブリの張りぼて神輿を担ぐブリ祭りがありました。
Commented by 事務局MA at 2012-11-05 20:51
ぶり森のらこ様
米神ではお世話になり、ありがとうございました!
ブリを乗せた御神輿の画像、サイトを通じて拝見しました。びっくりしてたら、なななんと!我が岩手県でもかつてはブリの定置網が盛んでブリがかなり獲れたことが岩手県のサイトに書かれているではありませんか。不勉強でした〜。

さらにビックリは、あの!(といっても岩手県人しかピンとこないが)「釜石大観音」が抱いている魚は「ブリ」なんだって!!え〜〜っ!?

ブリ、深すぎます。
今後ともよろしくお願いいたします。

<< 第42回大船渡市郷土芸能まつり やはり海はつながっている その1 >>