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花を吐く

ふるさと岩手の芸能では、花を目にする機会がたびたびあります。
シシ踊りの装束や権現様の幕に描かれた牡丹。
鳥兜のシコロにも牡丹や蓮。
そういった「描かれた花」もさることながら、時として印象深いのは「花笠」でしょう。
田植踊・剣舞・さんさ踊などの「花笠」は、おなじみのものではありますが、ふとした瞬間に新鮮に感じられます。
ふとした瞬間とは・・・
アタマの上に花が咲くということは、それを載せている人は茎か葉か根か。
その人のカラダがふつうの人体とは思えなくなる。
花を魅せるようでありながら、演者のカラダをまったく別物に見せてしまうところに、花笠の可能性を感じます。

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そんな「花と身体のかかわらせ方」を練りこんだ作品「花吐き乙女」。
片思いで苦しくなると花を吐いてしまうという“花吐き病”にまつわるオムニバスです。
古典芸能を見たときとよく似た読後感。
長年にわたって読みつがれることになるでしょう。

「花吐き乙女」(1)~(3)
松田奈緒子
講談社 ワイドKCキス (2009~2010)
各巻 813円(税別)



 by げんぞう

by torira | 2012-04-13 22:51 | 資料紹介 | Comments(0)

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