相伝式と大乗会

 ある地域の芸能発表会終了後に、懇親会で「薩摩奴踊」についていろいろと話をきく機会がありました。「踊り手が代替わりするときには相伝式がある」とのこと。奴踊りにもあるのか…と驚いたのですが、よくよくきいてみると、地域の別の芸能と話がこんがらがっていたようです。結論としては、「奴踊ではなくて鹿踊に相伝式がある」ということのようでした。f0147037_19445145.jpg
 しかし、相伝式のある芸能というのはいろいろあるわけです。よく知られているのは鹿踊と剣舞です。田植踊はどうなんでしょう。全体として共通するのは、「四門」「弓」といった要素が入ってくるものが多いということでしょうか。これらは地域としては和賀郡・胆沢郡・江刺郡が多いようです。
 相伝式はめったに見られるものではありません。しかし、順調に代替わりしていれば、一団体が30年に1回ぐらいはやっていいものなのかもしれません。とすれば、和賀郡・胆沢郡・江刺郡の鹿踊・剣舞の団体数はけっこうな数あるわけですから、見ることができるかどうかは別として、毎年1回以上はそういった行事が行われている可能性もあるのです(すべての団体が儀礼をもっているわけでもないようですが)。

 北東北の山伏神楽の場合、明確に相伝式らしきものがあるかどうか、自分はよくわかりません。ただ、盛岡市の八ツ口神楽では、入門者があるときに「だいじょうびらき」という行事をおこないます。この際に舞台飾りも凝ったものをやることになっています。7月12日に北上市村崎野で開催される大乗会は、おそらくはそれに相当するものと考えられます。現存する記録では、必ずしも相伝として行われているわけではないようですが、和賀・胆沢・江刺の鹿踊・剣舞の相伝式に通じる要素がいくつか見受けられます。四門に相当する舞台がつくられていること、この儀礼に限定でおこなわれる「弓」を用いる演目(天王)があることなど。そんなわけで、鹿踊・剣舞に興味がある方にも、ぜひご覧いただければ、と思います。


 by げんぞう

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by torira | 2009-07-10 16:43 | 儀礼・習俗 | Comments(0)

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