山祇神楽の「翁」

 「『翁』だけはほかの演目と違う」
 能の解説でよく聞く言葉です。これは山伏神楽(修験能)についてもいえることでしょう。それじゃあ、その「翁」が何を表しているのか。・・・を説明するのは簡単ではないようです。

 どの神楽にも共通しているのは、お爺さんがでてきて舞う一人舞の演目であるということ。特に有名なのは早池峰系の神楽のものでしょう。全体としては上品で、人間の爺さんというよりは神様に近い印象をうけます(早池峰系の中でも流派によってかなり内容に差があるように思うのですが)。 
 一方で盛岡以北の神楽(能舞含む)の翁は、もっと人間寄りに描かれています。雫石町無形文化財芸能発表会で演じられた山祇神楽の「翁」を見て、改めてその印象を強くしました。
 扇をひらひらさせていかにもめでたそうな動きをしたり、扇をかつぐような所作があったり。また、終盤ではヨロヨロしたり。通常「翁」に続いて演じられる「三番叟」は翁のモドキであるといわれますが、「この動きが三番叟のモドキのネタになっているのかなあ」と思われる所作が随所に見られます。

 前半部で「いーよーいーよー」「よーいさー」といった唄がかかるのも、北東北の山伏神楽の「翁」全般の特徴です。それが心地よいかどうかは色々あるのですが、山祇神楽の場合はこの箇所の唄も幕出・中謡も、しっかりとした抑揚でうたわれており、聴き応えがありました。
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 しかしまあ、翁ひとつを見に行くにしても、「焼肉食わすから」とか、いろいろ口実が必要なんです。

 by げんぞう

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by torira | 2008-11-26 21:06 | 芸能 | Comments(0)

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