白線の内側にお下がりください

 春日流落合鹿踊による「綱踊り」。さいしょに世話役の方2名が綱の両端をもって所定の場所に綱を置きます。そして、世話役の方はソデに控えている。・・・となると、「このあとその両端を持って持ち上げて、ピンと張られた綱に鹿がからむのでは?」と想像しがちなところです。が、結局は足元に置かれたままで終わります。
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 前列2頭の鹿の足元に見える白い線が、問題の「綱」です。
 いちおう説明としては「鹿が綱と遊んでいる」というようなことになっているのですが、他地域の一人立ち系シシ踊でもみられるこういった「綱」(そこに笠などが付いているケースもある)、「山」、露ばみの「ササ」、「橋」・・・などを考えると、意味合いとしては境界を表しているのでしょう。
 一人立ち系シシ踊にとっては境界というものがどうも重要な要素になっているようです。関東地方の三匹獅子では集落の端で行われるものがみられるということ、橋や鳥居・辻などでのほめ唄があること、棒術がセットになっているケースが多いこと・・・など。「それはシシが神獣であるからなのか?」といった理由づけもついつい想像しがちではあるのですが、もう少し歴史的な成立過程を考えてみたい。植木行宣 氏が『季刊東北学』 第十二号所収の「山鉾を囃す獅子―シシ踊りに先行する一人立獅子舞の伝承」で指摘しているように一人立ち系のシシ踊の展開に祇園系の祭礼が深くか関わっているとすれば、根底には牛頭天王信仰があるということか。そうであれば、一人立ち系シシ踊りが境界を強く意識するということはとても納得がいく。
 などなど色々と妄想はふくらむのですが、ともかくも「綱踊り」、
「うーん、この綱をいつあの鹿はまたぐんだろう。あ、またいだ。あ、でもすぐに戻った。うーん。うーん」
と、なかなか緊張感があってよいものです。

 by げんぞう
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by torira | 2008-07-13 21:36 | 芸能 | Comments(0)

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