舞い込む

 先だって「みちのく芸能ごよみ掲示板」に大黒舞についての書き込みをいただき、その結びが「わが家にも舞込んで頂きたいものです」という味わい深い一文でした。
 うん、そうですね。
 と思ったのですが、考えてみると「舞い込む」という言葉にはちょっと不思議な響きがあります。日常的には「営業2課から、ムリな取引の提案が舞い込んできた」みたいな感じで、唐突な出来事というイメージがあります。芸能について使う場合を考えてみると、
「すごく前かがみな姿勢でテンション高く踊りながら鳥居をくぐる人」
みたいなのをイメージしてしまいます。
 が、多くの山伏神楽では「舞い込み」という場合は特に「前かがみ」とか「テンション高め」ということはないようです。「民家の中で本格的に神楽を演じることになった際に、まずはその民家の前(屋外)から土間(屋内)にかけての場所で短い舞を演じ、それと前後して神楽のメンバーが民家に入る一連の行為」を言うことが多いようです。山伏神楽の関係者どうしなら、少々の差はあれ、だいたい雰囲気として伝わると思うのですが、そういったものに縁がない方には、ここで言う「舞い込み」というのはわけわからない言葉なんじゃないかと思います。
 いっぽう、大黒舞などがある田植踊の場合は「ヤドにしっかり腰をすえる」というよりは一連の門付けのなかでの「舞い込み」なので、ちょっとイメージがちがいます。逆に山伏神楽の場合は、一連の門付け先で行うことは、あまり「舞い込み」とは言わないようです。
 このように、ふるさと岩手の芸能とくらしに関わっては、そういう用語があれこれあります。関係者は何気なく使っちゃうのですが、わからないときはどんどん皆さん質問してください。いや、私は聞かれてもこたえられないことばかりですが。
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 写真は鵜鳥神楽による「かどいわい」(2006年 釜石市黒崎にて)。いわゆる門付けにあたるもので、これは「舞い込み」とは言いません。こういった風景はなかなかイベントではみることができませんが、冊子「とりら」第2号では、舞い込みも含めた黒森神楽の儀礼について紹介しています。どうぞご覧下さい。

 by げんぞう
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by torira | 2008-02-05 19:42 | 芸能 | Comments(0)

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