シシ踊りの東北らしさ・岩手らしさ

 岩手県周辺のシシ踊というと、皆さんはどういったものを想像されますか?
 奇抜な装束や動きの華やかさがなんと言ってもインパクトがあるのではないでしょうか。また、「外観や動き・演出が、空想状の『獅子』もしくは『ライオン』よりは、実際の野生動物に似ている」といったところも印象深い点です。
 これらの点は、これぞ東北オリジナル!という感じがするのですが、そういった面は果たして他の地方にはまったくないものでしょうか?
f0147037_23113951.jpg 例えば装束について。太鼓系鹿踊のササラと似た様なものは岩手県周辺以外の各地の三匹獅子にもあります。関東地方の三匹獅子にも「腰に指したは伊勢の御祓い」といった唄があるぐらい、やはり重視されていたもののようです。もちろん、太鼓系鹿踊のササラのあのデカさは、独特だなあと思いますけど。
 それから、実際の野生動物を感じさせる演目として「案山子踊り」が挙げられます。鹿が案山子の笠に恐る恐る近づいていって、最後にそれを取ったり倒したりするというもの。これと同様のテーマを感じさせる演目が下閉伊郡の鹿踊にもあります。こちらは、「ピンと張られた縄」or「ナワにつけられた人工物」に対して鹿がいろいろアプローチするというもの。そして、津軽の獅子踊や全国の三匹獅子の中には注連縄・橋・山(木の枝で代用したりします)に鹿が試行錯誤してアプローチするものがあります。もちろん、そこに案山子を使うのは岩手周辺オリジナルだなあと思います(これはたぶん結界の破壊・死と再生がテーマになっているんだと思います。「鉄砲踊り」のタイプについても、同様の検討が必要かなあと思います)。

 ここで触れた点はごく一部ですが、一見オリジナルに見えるものでも案外ヨソに同じものがあったりするんじゃないかなあと思うのです。「岩手らしさ」「東北らしさ」を見ると同時に、共通する基盤も見ていきたいなあと思います。こういう見方は別に目新しいものではないでしょうし、上に挙げた例についての検討も既出かもしれません。が、「岩手らしさ」「東北らしさ」がだんだんに広く認識されつつある今だからこそ、改めておさえておきたい視点だなあと思うんですよね。
 私がむしろ岩手県周辺のシシ踊りで独特に感じるのは、「お盆の供養」という役割を濃厚に担っている点です。この点についてはちかごろはあんまり興味もつ方が多くないようですけど。

 by げんぞう
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by torira | 2007-12-05 23:11 | 芸能 | Comments(0)

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