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歌から踊りへ

昨年11月30日(日)、胆沢郷土芸能まつりに行って来ました。
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出演された8団体のうち、ここでは行山流都鳥(とどり)鹿踊りを紹介してみます。
この日の「鉄砲踊(てっぽうおどり)」は15年ぶりのご披露だそうです。

「鉄砲踊り」については以前ブログとりらにも書きました。
気仙地方と下閉伊郡の鹿踊りの場合はこちらです。

今回の都鳥鹿踊りは、当日の配布パンフレットによれば
「やまだちの銃声に驚いた鹿の群が草むらに身を潜めた。ややもしてこれを心配した親鹿は我が子の身の上を思いやり、安否を尋ね歩く。子ども達の無事を知ると、あまりの嬉しさに声高らかに歌い喜び合う」というストーリーで、他の所とは多少の違いがあります。
ビジュアル的には、やまだち(猟師)の火器がピストルというのが新鮮でした!
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考えさせられたのは、歌が長いこと。「10分におよぶ歌を覚えるのは大変でした」と会長さんがステージで語っておられましたが、これは大切なところですね。

私たち芸能ファンはともすると踊りに目を奪われ、歌をあまりよく聞いてないことがあるかもしれません。ほとんどの場合、聞き取りにくいですしね。
なんとなく、踊りがまずあって歌はそれに附随するもの、という気になっていたのですが、そうではない。逆なんだ、ってことに今更ながら気づきました。
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思い出してみると、11月23日に「おでって芸能館」に出演された陸前高田市の広田御祝いでは、「御祝いは歌のみだったものに踊りの振りを付けて皆さんにお見せできるようにした」とおっしゃっていました。
今、各地の小中学校などで踊られている「ソーラン節」は、最近になって「わらび座」が民謡に振り付けしたものが広まったのです。始めから踊りとセットだったわけではない(不肖わたくしソーラン節エリア出身者です)。

なんというか、歌は今よりもっと存在の豊かなものだったようです。
今の時代に音楽があふれていることとはちょと違う。
身近な場面で盛んに歌が唄われていた。歌うことで何かが生まれると感じられてきた。

そんな歌を時間をかけて集め、まとめた本があります。
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「歌のちから」 国学院大学日本文化研究所編 瑞木書房 2003年発行 です。

江刺地方で歌われてきた、作業歌、儀礼や祝の歌、芸能の歌がたくさん収められています。
残念ながらその多くは消えつつあるけれど、歌の意味を考える上でも、昔の暮らしを想像する上でも貴重な資料です。

「日本人は言葉に魂がやどっていると考えていた。言霊(ことだま)という」と古典の時間に教わった記憶があります。
歌うことで生まれる力(ちから)があった。

まずは自分の神楽で歌われる歌をちゃんと覚えなければ、と思いつつ怠けているMAです。

 by.事務局MA

by torira | 2015-02-09 00:29 | 芸能 | Comments(0)

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