鹿と鉄砲

大船渡市日頃市町の小通(こがよう)鹿踊の方には震災後にこちらのホームページを通じて色々と教えて頂いていました。(ビジュアルも内容もとても充実したサイトです。)
しかしお会いする機会がなく、さきの気仙郷土芸能まつりでやっとお会い出来たので、とりらの募金からお見舞い&お花として金一封をお渡ししてきました。
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今日の演目は、役踊りの1つ「鉄砲踊り」です。鹿の1頭がヤマダチ(猟師)に撃たれてしまいます。
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ヤマダチは鹿を持ち帰ろうとしますが、重くてなかなか引けません。

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中立の鹿が猟師を追い払います。
そして「撃たれた鹿を生かそう 生かそうと魂をこめて歌を唄う この星にいかな山立ち天下り これの御庭で鹿を撃ちそろう 浅手か深手か浅手なら おきて遊べや連れ友達 と唄い生き返らせる」(当日のパンフレットより)のです。
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この構成の意図するところにはどうもよくわからない点があるのですが、見ていると切ない感情がわき上がってくる演目でもあります。
「鉄砲踊り」という役踊りは多少ニュアンスは違えど広く幕踊り系の鹿踊りにも伝えられています。一例として岩泉町の二升石鹿踊りと比較してみましょうか。
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猟師が仕留めた鹿を運ぼうとするのを飛び入りで観客が手伝います。
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岩泉の猟師に撃たれた鹿が一頭ずつ息を吹き返す場面。

小通のヤマダチさんは皮の上衣と蔓で編んだ駕籠に帽子、ワラ沓にワラのすね当てでした。
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弁当を食べたり、キセルで一服したり、アドリブの多いヤマダチの役はベテランじゃないとうまくやれないと言います。(‥キセルってご存じですか?バンドの名前じゃないやつ)

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二升石の猟師はケラを背負って竹籠を下げ、ワラジ履きにお面つきでした。
今、ニホンジカが激増して鹿による食害がかなり目立ってきていますが、猟師さんは逆に高齢化で少なくなりつつあり問題になっています。

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小通鹿踊の踊り手は若手がそろっていました。鹿踊りをやりたくて地元で仕事を見つけた方たちです。
小通地区は震災の直接的な被害はありませんでしたが、職場が被害を受けてしまった方があるそうです。過疎化が進む地域なので、10年後には活動はどうなるだろうか?というのが保存会の心配の種です。震災によってそれが加速されてしまいます。

小通鹿踊りは、その年初めて公演するまえに行う「鹿(しし)おろし」と、最後の公演の後に行う「鹿(しし)納め」という儀礼をお持ちです。
鹿納めについては、岩手県教育委員会から平成9年に出された「岩手県の民俗芸能」という調査報告書の中の小通鹿踊りの項に詳しく書き留められています。
この報告書など、もっと多くの県民が内容を共有できるように、一般に公開されるとか再版されると行われた仕事も生きると思うのですが。。

 by.事務局MA
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by torira | 2013-11-28 23:30 | 芸能 | Comments(0)

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