学校と芸能

「岩手は民俗芸能の宝庫」とよく言われますが、その「宝庫」を支えてきたのは何か?という事があらためて気になっています。

芸能に関する岩手県の特色の1つとして、伝承活動が学校ぐるみで行われている例が多い事が挙げられると思います。
データが手元にないのではっきりとしたことは言えませんが、1970年代から地元の民俗芸能に取り組む小中学校が急増したようです。

盛岡市東部の中山間地区にある浅岸小学校の子ども達は、地区に伝わる銭掛剣舞に取り組んできました。
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全校児童5名、今年度で廃校になることが決まっています。
毎年11月に学習発表会と収穫祭を行い、その時に剣舞を披露してきました。今年が最後ということで見学を申し入れお邪魔しました。
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講堂には長く保存してきた学校のアルバムが並べられていました。127年の歴史を誇る古い学校です。
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たぶん森口多里が調査に来たときに撮られたかと思う銭掛剣舞の古い写真。

器楽演奏や朗読などのあと、いよいよ剣舞です。
子ども達は、長刀を持って踊る「七つもん」と、扇踊りの「城まわし」を演じました。
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その後、保存会会員の大人達が「出羽(では)」「二十三」「高舘」を踊ります。
小学校の頃に踊ったことがきっかけとなって続けている若いメンバーがいらしゃると聞いて、内心ほっとしました。

学習発表会の終わりに、校長先生からコメントが述べられました。一人ひとりその子の良いところを誉める。これで子どもは成長するんだな、と校長先生のきめ細かな思いやりに感心するのでした。
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その後は収穫祭。学校近くの田んぼをお持ちの方のご厚意で、子ども達は田植えと稲刈りを体験してきました。そこで獲れた餅米で作ったお餅を皆で頂くのです。

学校が統合になるとこういう地域ぐるみの交流が難しくなります。芸能の伝承活動も何かと難しくなります。学校は単なる教育機関ではなく地域の拠点でもあるのです。

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お母さんたちが作ったきな粉餅とあんこ餅、豚汁と漬け物を、生徒と父兄だけでなく地区の方たちも一緒にいただきます。ここに後輩がいるおかげで私もごちそうになりました。これがお世辞ぬきで本当においしいのです。
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校内には給食室がありました。今、盛岡では全地域を一括する小学校給食センター化計画があるようですが、作り手と食べる顔がお互いに見える自校方式学校給食がいいなとしみじみ感じた日でした。
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銭掛剣舞は、明治時代の中頃、今は宮古市となった川井地区の田代から伝わりました。ここから田代へお嫁に行った方のご縁で銭掛に剣舞がもたらされたそうです。
縁談のきっかけを作った関係は何だったのでしょう?
少し離れた銭掛と田代をつないだのは何だったのでしょうか?
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そんなことを考えたみたのが、新発売「とりら」7号の拙稿「高舘剣舞、馬の古道を行く」です。少しまとまりの悪い文章になりましたが、ご一読頂ければ幸です。
7号は今日から盛岡市松園「ちいさな野菜畑」でもご購入頂けるようになりましたのでよろしくお願いいたします。

 by.事務局MA
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by torira | 2013-11-24 23:03 | 芸能 | Comments(0)

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