小説 国譲り神話

事代主命(ことしろぬしのみこと)は一人、岬で釣り糸を垂れていた。
空は青く、波はおだやかだ。
出雲の国は今日も美しい。
しかし彼の心は重かった。

気づけば父からの使いを乗せた船がいつのまにか眼の前まで来ていた。
「父君がお呼びです。急ぎお戻り下さい」。

国王である大国主命(おおくにぬしのみこと)は事代主命の顔をみるなり、
「即日回答せねばならん。どうする」と言う。言いながら、大国主命は少し離れたところからこちらを睨んでいる建御雷(たけみかづち)の神のごっつい戦隊をゆううつそうに見やった。
「どう、ってもう結論は出ているでしょう。
大和朝廷と戦ってもとうてい勝ち目はないのだし、私を待たずにさっさと国を譲るとおっしゃれば良いのに」。
「でも国を占うお前の意見を表向きにしないと」と王は目をしばたいた。

「大和朝廷の使いが返事を待っています」と家臣に促され出て行く父王を見送り、事代主命は海辺へ向かった。
わたしがいいと言ったから今日は出雲の国譲り記念日。

しばらく前からこうなることは予想していた。でも本当にこの日が来るとは。
事代主命は青柴で囲いを作った舟に乗り込み、一人海へこぎ出した。
そして舟を傾けて水中に没した。

なんで事代主命がめでたい「えびすさん」になったんだか、そのあたり私は知りませんが詳しい方はたくさんいらっしゃるでしょう。
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大槌町郷土芸能祭に出演していらした黒森神楽の恵比寿さん。
たいへん見事な舞でした。

 by.事務局MA


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by torira | 2013-03-15 18:20 | 芸能 | Comments(2)

Commented by あべ at 2013-03-15 20:51 x
これってTPPだ! 民俗芸能には違和感があるかも知れないが無縁ではない、暮らしがあって文化がある。
Commented by 事務局MA at 2013-03-16 09:58 x
あべさん、無縁ではないどころか直結です。地域で自治力を発揮して暮らす生き方が容れられない時代になりました。

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