漆の国、いわて

沿岸の獅子頭は漆塗りが多いと感じています。
内陸では往々にしてカシュー塗りで仕上げますね。安価で手軽に作業できますから。。

f0147037_2158333.jpg
大澤大神楽の古い獅子頭。漆塗りです。
擦り傷程度しかないように見えますが、じつは裏アゴを津波にやられました。塗りがはげて生地がみえていました。(脇に写っている破片は別の獅子頭のものです)
漆をかけるまえに地塗りとして黒っぽい泥がひかれているのがわかり、新鮮な驚きでした。

獅子頭の修理をして下さる宮本卯之助商店の方は「昔の技法です」とおっしゃっていました。
仏壇屋さんのサイトを見たらこの技法が出てきました。ニカワと砥の粉を練り混ぜたものを「泥地(どろぢ)」と言い、これを白木に塗りかさねて(もっと色々行程があるみたいですが)、漆で仕上げるようです。

漆。
英語でも「ジャパン」というほどに日本に根付いた塗料ですが、岩手県が日本一の漆の生産地だということをご存じでしょうか?その生産地は二戸市浄法寺(じょぼじw)です。

特別の時にだけしずしずと出てくる漆器。
日常の器としては使いにくいイメージがあるかもしれません。
でもうち(絵描き二人のビンボー暮らしですが)では、浄法寺塗りのお椀で朝の味噌汁をいただきます。
寒い朝も手にしっとりと暖かくおさまるし、中身も冷めにくく、心まで豊かにしてくれます。
アルコール系洗剤にはやや弱いのですが、その問題は「洗剤のいらないアクリルたわし」などを使えばいいので、あとは温風ヒーターの前に置いたりしなければ扱いに特別なことはいりません。

この岩手のすぐれた文化をきちんと記録し残そうと、岩手県立博物館の課長などを歴任された研究者工藤紘一さんが「いわて 漆の近代史」「南部の漆を支えた人びと―越前衆の軌跡」などの本を出されています。

しかしまず漆も使ってなんぼ。
日常のくらしの中でもっと漆器とのつきあいをふやしていこう、と提唱している方たちがいます。
盛岡を語る人気のローカル雑誌「てくり」は、この秋、「てくり別冊 いわてのうるし」を出しました。
f0147037_21595281.jpg
訪ねてみれば見えてくる、
使ってみれば価値がわかる、
岩手の漆の物語。


漆の今を知る上でぜひ一度手にとってごらんください。
てくりがプロデュースするセレクトショップ「ひめくり」には岩手の漆器に加えて「とりら」も置いていただいています。

権現様からお椀まで。縄文時代から21世紀まで。
漆とのお付き合いが深い岩手です。

 by.事務局MA
[PR]

by torira | 2012-12-18 22:00 | お役立ち情報 | Comments(2)

Commented by 阿部武司 at 2012-12-20 08:25 x
カシュー塗料てどんな塗料か知らなかった。名前だけは知ってたが。しらべたら。
食用のカシュー・ナット(カシュー・ナッツとも)の実の殻(カシュー・ナット・シェル)から抽出されるカシュー・ナット・シェル・オイルを主成分として、フェノール・メラニン・尿素・アルキドなどをアルデヒドと共縮合することで製造される。カシュー・ナット・シェル・オイルの主成分の1つであるカードールが漆の主成分であるウルシオールに類似した化学構造を持つ。
カシュー樹脂塗料は塗膜や性能も漆とほとんど変わらず、光沢があり、高樹脂分のためふっくらとした肉持ち感がある。塗料の乾燥は空気中の酸素を取り込む酸化重合であるので、漆のように湿度を必要としない為、自然乾燥または加熱乾燥が行われる。
また漆と違う点としては、漆かぶれがなく(但し稀にかぶれる場合もある)、刷毛塗りの他、吹き付け塗装も可能である。
Commented by 阿部武司 at 2012-12-20 08:34 x
我が家には、恐らく江戸期からと思われる漆器があります。膳と一式ですが今は年取りに出るだけです。花卷空襲前に疎開させて置いたので100組ほど残ったのですが、焼け野原になった花卷に戻る際、割烹満幅が欲しいというのでかなり譲ってしまった様です。その満福も今や無い。骨董品としてあちこちに。以前北上の鬼の居ぬ間にの店先にドラム缶に入った漆器類が置かれていた。聴くと売ってくれと預かったそうだが、さっぱり売れなかったそうだ。やはり漆製品は日常から遠ざかってるんだね。じゃんじゃん

<< オソウゼンサンの年越し 獅子が眠りから覚める日 >>