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岩手県におけるエジコの衰退過程

赤ん坊を入れておくためのカゴ「えじこ(えんつこ)」。
いまでは、実用されている例はほとんど見られません。
記念撮影する物好きな方はいらっしゃいますが、かつては趣味で使われていたわけではありません。
過酷な労働条件のもとで保護者がじゅうぶんに育児に手をかけられなかったこと、そして旧来からの習慣が根強く残っていたことから用いられていました。
保護者が働いている最中は入れられっぱなしで、オムツ交換もされないわけです。
赤ん坊にとってはイイ条件ではありません。

といっても、えんつこは自然となくなったわけではありません。
その背景には、地域保健活動の広がりがありました。
この様子を描いたのが「岩手県におけるエジコの衰退過程」です。
主に対象としているのは昭和18年から40年代の岩手県。
無医村での巡回診察や保健婦の活動を通して、育児や子どもの健康対策を充実させていく様子が紹介されています。
エジコそのものの話にとどまらず、育児・子ども観の変化が主題だといえるでしょう。

「岩手県におけるエジコの衰退過程 -第二次世界大戦後の地域保健活動資料を中心に-」
竹村 祥子
人文研紀要 第18号 -1993年 (中央大学人文科学研究所 1993年9月発行,A5判239頁) p.83~99
 ※岩手大学図書館に蔵書あり

岩手県におけるエジコの衰退過程_f0147037_2115275.jpg

でも、伯母が「ナベ用の保温布団」を送ってくれたんですよ。
そりゃまあ、梵さん入れたくなるわけです。

 by げんぞう

by torira | 2012-05-11 21:15 | 資料紹介 | Comments(0)

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