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芽のでないジャガイモ

自慢じゃないけど映画は好きでもストーリーが覚えられないたちです。覚えているのは食べ物のシーンばかり。
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小学生の時に見た「フランダースの犬」(外国映画版)では、ネロとおじいさんが飲んでいた「貧しいので何も具が入ってないスープが晩ご飯」という茶色いコンソメスープがとても美味しそうに見えて忘れられません。
フェリーニの暗くて変な映画「カサノヴァ」で思い出せるシーンは、スイスの家に転がり込んだときにその家の姉妹が木のボウルに入ったシリアルみたいなものを手でつまんで食べていたところ。あれ何だろう?
比較的新しいところでは、タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」でナチスの大佐が食べるパイ菓子。ヒロインは偶然敵役に出くわして心臓ばくばくなのですが、見てるこっちはあのお菓子が気になって気になって。

子どもの時に、学校の講堂で原子力開発の映画を見ました。
すばらしい技術が生まれたという科学教育映画でした。難しい仕組みの説明とかが続いて退屈で何も覚えてない中で、今でも忘れないシーンは
放射線を当てるとジャガイモの芽が出なくなり、長く貯蔵できます」という部分。
以来、原発の話を耳にする度に「芽の出ないジャガイモ」の事を思い出すのです。

ジャガイモの芽なんか、ちょっとえぐってしまえば簡単じゃん。春まで残った芋はさっさと食べちゃえばいいだけだ、
なんで科学の粋を集めた技術で出来る事が、たかだか「芽の出ないジャガイモが作れる」なの?と子ども心にも不思議だったのでしょう。
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今にして思えば「芽の出ないジャガイモ」は「食べてはいけない怖いジャガイモ」だったのに。

私が卒業した北海道の高校は泊原発の隣り町にありました。漁協で働いていた親友のお父さんが一生懸命反対運動をしていました。「とまり原発」じゃなく「とまれ原発」ですね、遅まきながら。

 by.事務局MA

by torira | 2012-04-23 21:25 | たべもの | Comments(0)

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