門つけをする「統一さんさ」

 真昼間に、さんさの太鼓が聴こえてきました。例年、夕方に盆踊りがある日はこうやって歩いてるんだな。たまには見てみよう。

 音を頼りに探し当てました。行列をして歩いているだけかと思いきや、輪をつくって踊っています。輪と言っても、演者は太鼓を打つ女の子4名のみ。一人立ち獅子舞の雰囲気です。数名の大人がいっしょについて引率しています。あらかじめ決まっているらしい家々を訪問して、踊りを披露。お花も出ていました。
 踊りの型は、「七夕くずし」や「福呼踊り」など。いわゆる「統一さんさ」です。しかし、要は「門つけをしている」のです。
f0147037_20595737.jpg

 「伝統さんさ」と違って「統一さんさ」には、「流し踊り」というイメージがあります。民俗芸能研究の立場で書かれたテキストでも、「統一さんさ」は主に盛岡市中央通りでおこなわれる「盛岡さんさ踊り」に出演するものとして描かれていることが多いようです。出演する単位は企業や町内会・同好会であり、その機能としては「観光」と「出演グループ内のコミュニケーション」の2点が注目されていると言ってよいでしょう。
 しかし自分は、盛岡市内各地の町内で夏の間ずっとおこなわれている「統一さんさの輪踊り」が気になっていました。おそらく「盛岡さんさ踊り」の流し踊りよりも、延べ参加人数は多いだろうと思います。また、実際に足を運んでみると、流し踊りとはだいぶ違う雰囲気が感じられます。
 そして今回、「門つけをする統一さんさ」を目にして、さらに異なる側面を見たように思います。

 同時に、「門つけ」とは何かということも考えさせられます。芸能の門つけというと、つい「信仰心」「娯楽」という言葉で説明してしまいがちです。しかし「統一さんさ」の門つけでは、別にお札を配ったり、身固めをしたり、祝言を述べたりはしません。ものすごく見ごたえがある娯楽というもんでもないでしょう。それでも行われているというからには、もう少し別の意味あいが地域住民にとってはある。こういうことは山車や神輿の門つけを目にするといつも考えるんですが、民俗芸能を見る際には、とかく「信仰心」「娯楽」で覆い隠してしまい、思考停止に陥っていちゃうんだよなあ。そして、これは門つけをしない芸能についてもあてはまることなのでしょう。

 by げんぞう

[PR]

by torira | 2011-08-12 21:00 | 芸能 | Comments(4)

Commented by 笛吹きオヤジ at 2011-08-13 08:57 x
統一した踊りにより観衆受けは良くなるものの各団体が持っている「訛り」の踊りなど
が廃れていくような気がして大きなイベントでの統一ものには複雑な思いがあります。
しかし細々と地域でやっているばかりでは逆に廃れていく芸能もあり
個と団の両立は非常に難しく今回の大震災もあり大変厳しい分岐点に来ていると思います。
今日は15時から震災の方々への鎮魂も込めての当保存会毎年恒例の「盆供養」です。
細々とやっていますがこれも非常に大事な行事の一つになっています。
Commented by げんぞう at 2011-08-13 09:30 x
盆供養、おつかれさまです。
私の住まい付近は13日朝現在、すこし天気が傾いてきています。
好天をお祈り申し上げます。
Commented by あ猫 at 2011-08-13 15:56 x
げんぞうさん こんにちは~
統一さんさはパレード用(流し踊り)に考案されている
ため、体をできるだけ進行方向に向けていく踊りに仕
上がってますね・・・
なんたって、一サイクルが20~25秒になるように作ら
れましたから、その場でクルクル廻ってなんぞいられ
ない(!?) 
一応、輪踊りでは輪の中を向く動作、外を向く動作がありますが、私の中では「廻らないさんさ」と思ってま
す。

統一さんさで門付けをする地区があるのを初めて知りました。

門付けかぁ・・・ 母の実家がある町では、お盆にネブ
タを運行してまして、ご祝儀を出した家の前でネブタの台座をクルクルまわします。考えてみれば、それも
一種の門付けだったのかと思います。
Commented by げんぞう at 2011-08-16 22:45 x
「統一さんさ」って、あ猫さんのおっしゃるとおり、つくりはどう見てもパレード用なんですよね。
ところが、「盛岡さんさ踊り」でパレード後におこなわれる輪踊りは、県内数ある盆踊りの現場の中でも、もっとも盛り上がっている部類に入ると思います。
踊りの型は統一さんさであるにもかかわらず。
「踊りの型」や「まつりのしくみ」をそのままに、まったく別の役割の踊り・まつりが生まれることがある・・・というのが面白いもんだなあと思っています。

<< 8月14日大船渡市越喜来の崎浜。 不思議な仏師 >>