唄と所作

 シシ踊りの唄というのは、なかなか趣があっていいものです。数あるほめ唄の中には、シチュエーションにあわせて文言を多少変えてバリエーションをつけているものも多いのですが、全体としては内容も多岐にわたっています。むしろ、内容がはっきり分からないものが多いともいえるかもしれません。しかしわからないなりに、情景や想いが豊かな色彩で描かれている。どっちかといえば神楽の唄よりも想像力をかきたてるものがあるなあ・・・という感じが、私はしています。もっとも、これはシシ踊りの唄に限った特徴というよりは、小唄をベースにした風流系の芸能一般に言えることなのかもしれませんが。
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 そんなわけで唄を気にしながらこのあいだ竪沢鹿踊(花巻市大迫町外川目)を見ていたのですが、あんまりにも雰囲気が良すぎて、歌詞の内容はすっかり忘れてしまいました。しかし印象的だったのは、唄がかかるポイントって、全体の上演時間のなかでかなり限られた場面に集中しているなあということ。考えてみると、これは竪沢鹿踊に限ったことではありません。これまで自分が見たかぎりでは、幕踊り系のシシ踊りは、わりと唄う場面とそうでない場面が、きっちりわかれているような気がします。太鼓系鹿踊はそこらへん、全体にまんべんなく唄が散りばめられているというか。いや、そうでもないかなあ。
 そのほかにも、「どの唄のときにどういうタイプの所作をしているか」といったあたりも考えていきたいのですが、わりと団体によってやることが違うので、なかなかわかりにくい。近いタイプの団体どうしを見比べるとある程度の傾向は感じられることがありますし、メジシ隠しの際にはあの唄、総立ちの際にはこの唄・・・といった程度のことは言えるのですが、もうちょいつっこんだところを、一人立ち獅子全般を横断的に考えてみたい。とは思いつつ、あんまり見られず残念。

 by げんぞう

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by torira | 2010-11-19 21:18 | 芸能 | Comments(0)

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