於呂閇志神社の雪椿

 以前にも少し紹介しましたが、今年5月7日に奥州市胆沢区の田んぼで、下の画像のようなものを見かけました。
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 この枝葉は、於呂閇志(おろへし)神社の雪椿ではないか、と私は考えました。「日本の民俗 岩手」(森口多里著 昭和46年 第一法規出版)には、5月19日、胆沢区若柳にある於呂閇志(おろへし)神社の祭日に、参詣者が神符とサルイワツバキ(雪椿)・笹を持ち帰る旨が紹介されています。その笹は馬に食わせ、ほかは神棚にあげておき、田植が終われば神符と椿を田んぼの水口に立てるとのこと。そんなわけで、画像の枝葉は雪椿で、そこについている袋の中の紙はお札なのかなあ・・・と推測したわけです。

 6月19日、再びその場を通った際には、すでにこの枝葉はなくなっていました。が、すぐ近くの田んぼで畦の草を刈って焼いている70歳前後の男性がおり、話をきくことができました。「その田んぼはヨソの家のだからよくわからないが、自分が20代ぐらいのころは、このへんの人たちは誰もが、4月29日の祭りの日に、於呂閇志(おろへし)神社へいっていた。お札を買って、椿の枝をとって水口にさしていた」。

 問題は、私が見たこの枝葉は田んぼの中央に挿されていたことです。
「あの椿は水口にさすもんだ。そこの田んぼの人が挿してたのが椿かどうかわからないが、何か理由があるんじゃないか。例えば、昔は田んぼを耕していたら大きな石が出てきたり、ぬかるみすぎる場所にでくわすことがあった。そういう場所には近づかないように、目印に木の枝や棒を挿しておくものだった。そこの田んぼもそういった事情で、水口に挿して使ったあとの椿を何かの目印がわりに流用して田んぼの真ん中に挿したんじゃないか。いや、わからないけど」
と、現場の人ならではの推測をいろいろと聞かせてくれました。

 by げんぞう

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by torira | 2010-06-21 20:25 | 儀礼・習俗 | Comments(2)

Commented by 一八 at 2010-06-21 22:19 x
おばんです。
いつの日にか手に触れてみたい雪椿でした。
機械化された現代農業にこのような伝統が継続されていることに感動しました。
映像も良いですね。
Commented by げんぞう at 2010-06-21 22:26 x
昔はやってたけど今はもうやっていないだろう。
と思っていたら実はやってた。
・・・というようなものごとにたびたび出会うことがあります。
そこには色んな驚きがあり、きょろきょろしながら歩く甲斐があったなあと思えるひとときです。

が、そこにはちょっとした落とし穴もあったりします。
そこらへんの話は近日中にまたふれたいと思っています。
一八さま、コメントありがとうございます。

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