黒内田植踊の衝撃

 11月15日に開催する「とりら収穫祭」では、岩手町の黒内田植踊にご披露いただきます。黒内田植踊はこれまでにも沼宮内の秋祭りなどで見る機会が度々ありましたが、この7月に沼宮内の愛宕神社祭典で奉納を見る機会があり、その際に次のようなことを感じました。

特に衝撃だったのは「せんぶく山」と「あさよはか」です。
盛岡周辺の座敷田植踊は、上演時間全体の中では子供たちが披露する「なか踊り」や早乙女の踊りが大半を占めているように思います。
そのため、田植踊というと、いわゆる「おんなこども」といった雰囲気が強いように私は感じてきました。
しかし、黒内田植踊は“陣羽織+ほっかむり”の、いい年をした男たちがとても前面に出ていました。
やっていることは盛岡周辺の座敷田植踊だと思うのですが、雰囲気としては、むしろ和賀以南の田植踊や八戸のえんぶりに通じるものを感じるのです。
その特徴がいかんなく発揮されているのが「せんぶく山」と「あさよはか」だったと思います。
綾棒(?)の振り方も骨太で、特に左右交互に上げるのではなく左右いっぺんに上げる箇所では、盛岡周辺の高舘剣舞を連想させられ、なんともいえない「押しの強さ」を感じました。
「せんぶく山」では太鼓のバチを皮に押し付けてミュートをかけるような奏法を多用していました。こういった、“聴いている側を心地よくさせる知恵”はすごい物があると思います。
さらに、どの演目だったか忘れましたが、早乙女が「ヒザを曲げながら、そのヒザごと体を左右にひねる動き」をしていました。その現代的な動きに驚いた…というよりは、伝統的なものも現代的なものも、見ていて楽しい動きは一緒だなあという感を強くしました。
終盤にかけて、囃子舞が2種類演じられました。「たけのこ舞」「くすのき舞」です。この囃子舞が、盛岡・紫波郡とはかなり雰囲気が違っていて、新鮮でした。
盛岡・紫波郡でも「たけのこ舞」以外にいくつかの囃子舞があるのですが、自分はたけのこ舞ぐらいしか印象に残っているものがありません。また、盛岡・紫波郡の場合は「ほかの囃子舞も歌詞が違うだけで、動きはまったく『たけのこ舞』と同じ」ということが多いように思います。
その盛岡・紫波郡の囃子舞、紫波・矢巾の「六角流」という系統の大神楽以外は、いずれもわりと前傾姿勢で踊られます。また、左手をお尻のあたりに後向きに突き出しています。そういった型を含めて、私の好みとしては、六角流以外の囃子舞はいまひとつ・・・というイメージがありました。
ところが、黒内田植踊の「たけのこ舞」は、基本的には盛岡・紫波郡の囃子舞とも共通する要素を感じさせるのですが、しかし六角流とも違った、イイ型をどんどん繰り出す・・・そんな印象をうけました。
そして「くすのき舞」は、たけのこ舞とは異なる型の囃子舞が世界に存在するのだということを見せ付けてくれました。
「くすのき舞」は踊りの型も面白いのですが、唄もかなり衝撃的でした。
全体を通してラップのようなスタイルで通しているのに、最終盤で唄うような感じになる。このあたり、自分の好きなモス=デフやカニエ=ウェストといった“歌心のあるラッパー”の原型がここにあったのか・・・と感慨深いものがありました。

以上、長くなりましたが、愛宕神社での奉納を見た直後のメモです。
皆さんにもきっとお楽しみいただける田植踊だと思います。
「とりら収穫祭」どうぞご来場ください。

 by げんぞう f0147037_19113765.jpg 

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by torira | 2009-11-04 21:43 | 芸能 | Comments(0)

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